11.9田中康夫 参議院議員からのメッセージ

田中康夫 参議院議員からのメッセージ


元祖・脱ダム宣言男 新党日本代表の参議院議員・田中康夫です。
我が舎弟に当たる草島進一さんを始めとする、
最上小国川を愛する皆さんのシンポジウムが、
私の敬愛する今本博健さん、更には矢上雅義さん、天野礼子さんも御参集の中、
開催される事を大変に心強く、嬉しく感じています。

去る10月3日の参議院本会議の代表質問でも述べましたが、
「脱ダム」とは、環境問題に留まりません。
国、県の何れが実施主体のダムも、地元自治体の財政負担は3割近くに上ります。
他方で、ダムに象徴される巨大公共事業は、総事業費の8割近くが、東京や大阪に本社を構えるスーパーゼネコンに支払われます。
詰まり、地元は1割も持ち出し。
巨大公共事業の絡繰りとは実は、
租庸調”の時代の如き、上納・献上システムなのです。ダム建設とは今や、「地方経済」を回復させるどころか逆に疲弊・破綻へと追い込む、河川に染み込む毒薬メタミドホスです。

 他方で、日本の国土面積の7割近くを占める森林は荒廃しています。取り分け、その45%は戦後に造林された針葉樹の人工林。広葉樹と異なり、間伐を必要とします。が、驚く勿れ、林野庁の予算の中で森林整備に投じられているのは僅か8%。残り92%は林道建設や谷止工と呼ばれるコンクリートや鋼鉄の杭を沢に打ち込む公共事業なのです。
針葉樹は樹齢45年から60年の間に、「2残1伐列状間伐」と呼ばれる2列残して1列伐採する森林整備を行わねば、幹が太くなりません。昭和30年代に造林された針葉樹の間伐は最早、待ったなしの状態なのです。にも拘らず、間伐が完了しているのは人工林1140万haの約3分の1、400万haに過ぎません。今後6年間は年間55万haを間伐する、と林野庁は計画を発表していますが、それでは6年後も410万haは手付かずの儘です。

 実は、間伐に投じる事業費の3分の2は、人件費なのです。即ち、これこそは地域密着型の公共事業。中山間地域の土木建設業従事者にとっての福音でもあります。
故に知事時代、私は森林ニューディールと銘打って、間伐する面積も予算も2.5倍に増やすと共に、森林整備技術を習得する100時限の無料講習会を開催し、地域雇用の促進に努めました。
 森林整備の効果は、治山・治水に留まりません。中下流域の農業者にも漁業者にも、更には牡蠣を始めとする河口の漁業者にとっても福音を齎すのです。正に農業・林業・漁業3分野を連携する新“3業革命”です。

とまれ、本日の会合が、御参集の方々のみならず、最早、
「とてつもない日本」改め「とんでもない日本」と化しつつある、我がニッポンを憂う方々にとっての、
新たな一歩を確認し合う時空であります事を、心から願い、メールをお届けします。

脱ダム宣言の田中康夫より。